蘇る脳細胞

脳梗塞で一度死んだ神経細胞は二度と生き返ることは無いというのが常識だ。ところが、その定説を覆す発見があり、死んだ神経細胞を再生させる研究が進んでいるという。兵庫医科大のグループが、脳梗塞の組織の中に神経細胞を作る細胞があることを発見したのが7年前のこと。現在は、その細胞を採取し、培養して移植することで、脳梗塞で死んでしまった脳細胞を再生させる研究を始めているとのこと。脳梗塞は脳の血管が詰まり、脳の神経細胞が死んでしまう病気だ。しかも重い後遺症が残り、ハードなリハビリをしても回復は難しいと言われている。死んだ神経細胞が生き返れば、夢のまた夢。まさに夢のような研究が始まっている。脳梗塞で神経細胞が死ぬと、血管の周囲の細胞が、神経細胞などに変化できる「多能性」を獲得していることを確認。その細胞はiSC細胞(虚血誘導性多能性幹細胞)と名付けられた。体のさまざまな細胞を作れる多能性幹細胞といえばiPS細胞が有名だが、iSC細胞は体内で自然に作られるものなので、移植してもガンなどの危険性は低いとのこと。願ったり叶ったりだ。既にマウスのiSC細胞を別のマウスに移植した実験には成功している。現在は、ヒトのiSC細胞をマウスに移植し効果を確認する段階にある。マウスで効果があれば、ヒトへの応用の可能性も開けるという。欠陥を治すために自らiSC細胞を生み出す脳も凄いが、それを発見し脳を蘇させる研究も凄い。早期の研究完成を願いたいものだ。