元旦のうるう秒

穏やかな年明けだ。年末の寒さが過ぎ去り、暖かく風も無い。まさに穏やかと言える。でも、世の中は、激動の時代が始まると予測され、日経の1面には「当たり前はもうない」との見出し。以前は、正月元旦が穏やかであれば、その一年も穏やかに過ぎると言われていた。案の定世界情勢は裏腹。元旦の朝一番に見たネットのニュースで目に付いたのは「うるう秒」。今日元旦に1日の時間が1秒長くなる「うるう秒」の挿入が行われる。午前8時59分59秒と午前9時の間に「午前8時59分60秒」を入れるとのこと。歴史的出来事の体験者として、その時を見逃すわけにはいかないと思った。幸いにも、自分の腕時計はソーラー電波時計だ。極めて正確。常に時刻を更新し、少しの間違いも無い。だから世紀の瞬間を見逃すまいと思った。8時57分頃から腕時計とのニラメッコになった。そしてその時を迎えた。ところが、秒針は何事も無かったように淡々と時を刻んでいる。過ぎ去る時を見ながら呆然とした。そして少したってから笑いがこみ上げてきた。電波時計は常に正確な時を刻む訳では無い。ある周期で時刻を修正するものだ。そんな「うるう秒」に瞬間的に対応するはずが無い。笑いがこみ上げてきたのは、その原理を再認識したからだ。そして、笑いの理由はもう一つある。なんとなく、人生が1秒だけ延びたような気がした。人は誰しも、1秒たりとも長生きしたい生物なのだなと思った次第。