事勿れ主義

都教育委員会が、都立高でのプールの飛び込みを禁止する方針を決めたとか。競泳は水中からスタートし、体育の授業や校内の水泳大会、文化祭でのシンクロナイズド・スイミングの演技なども対象となる。例外として、水泳部の活動では顧問教員らの指導を条件に認めるとのこと。禁止の理由は、今年男子高校生が首を骨折する事故が起きたから。20年近く前に飛び込みによる死傷事故が3件続き、今では飛び込みを指導する高校は少なくなっているという。国立大学の調査によると、13年度までの31年間に、学校のプールに飛び込んで後遺症の残るけがを負った事故は169件あり、大半がプールの底で頭を打つ形だったという。生徒が溺れるのを防ぐため、学校のプールは水深が浅く出来ている為とのこと。何か変だ。プールに飛び込んで首を骨折する生徒は、極めて稀にいるかもしれないが、いないと言っても良いほどのレベルだ。飛び込みは基本的に危ないといえるような行為ではない。飛び込みを覚えた方が、水泳の醍醐味を楽しめるし、いざと言う時は人命救助にも役立つことになる。また溺れ防止のために、水深を浅くして事故を起こすのは本末転倒と言える。飛び込みの禁止も浅い水深も、教育関係者の事勿れ主義の責任逃れの方便としか聞こえない。嘗て問題になった10段ピラミッドとは、危険の質が違う。高校生を過保護にひ弱に育てるべきではない。質実剛健とまでは行かなくても、普通の高校生に育ててほしいものだと思う。