JR北海道のギブアップ

JR北海道が、在来線の総延長の5割を維持困難な路線だと公表した。今後廃線にしてバスへの転換を図るとか、第三セクターによる上下分離方式を検討するという。1987年の民営化によるJR北海道発足当時から経営難は予想されていた。そのため国が約7千億円の経営安定基金を設け、運用による赤字補填を狙ったがバブル崩壊で狙いは頓挫。また保全管理の質の低下で脱線事故が相次ぎ安全投資の負担も追い打ちをかけている。一方JR九州は株式上場を果たしイケイケの状況だ。何故このような明暗に分かれてしまったのだろう。人口と面積で簡単に説明出来そうだ。北海道の人口は540万人に対し九州は1400万人。北海道の面積は九州の2倍強。単位面積当たりの人口分布は、北海道を1とすると九州は9になる。同じ費用で1人を運ぶのと9人を運ぶのを比較すれば、北海道が圧倒的に不利であることは誰でも分かる。民営化する前に分かっていながら、JR北海道を発足させたこと自体が大きな間違いと言える。30年目にして力尽きたということだ。しかし、鉄道は赤字だからといって全て廃線にすれば良いというものではない。鉄道はインフラそのものだから、例え赤字でも基幹路線は存続させるべきものだ。国はJR北海道に任せるだけでなく、北海道の鉄道のあり方を抜本的に見直すべきだと思う。