玉石混合のイグ・ノーベル賞

またイグ・ノーベル賞を日本人が受賞した。何と10年連続とのこと。イグ・ノーベル賞とは「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に対して与えられるノーベル賞のパロディー版であるから、ユニークで奥も深い。今年の受賞は「股のぞき」。天の橋立で有名な股のぞきをすると、実際よりは小さく近くに感じることを証明したとか。受賞したことは目出度いと思うが、さてこの研究が何に結び付くのだろうかと考えると、些か心許ないような気がする。嘗て受賞した涙の出ないタマネギやスピーチジャマーなどは今後も技術的な発展が望めそうだ。またドラえもんの望遠メガフォンは何故受賞しないのだろうかとも思う。今年の受賞研究の中で、ドイツの「体の右側がかゆいとき、自分を鏡に映して左側をかくとかゆみが和らぐ」という研究が秀逸だと思う。この現象はミラースクラッチングと名付けられているが、今後臨床研究に重要なインパクトがあると言う。事象自体が人を笑わせ、これを契機に医学の新分野を拓くほど奥が深く考えさせてくれる研究と言えるかもしれない。ひょっとするとイグ・ノーベル賞から本物のノーベル賞が産まれるかもしれない。まさに玉石混合のイグ・ノーベル賞と言えそうだ。