文殊の知恵

政府が高速増殖炉もんじゅを廃炉にする方向で最終調整に入ったが、敦賀市長は反対している。消費した量以上の燃料を生み出すことの出来る夢の原子炉と言われた高速増殖炉は、世界中の多くの国が20年以上も前に技術的にも費用的にも困難でギブアップしてしまっているのが現状だ。もんじゅは1980年代に建設されたが、トラブルばかりで真面に動いた事は無い。再稼働には数千億円の追加費用が必要となるが、動くかどうかは分からない。運営主体の日本原子力研究開発機構はやる気の無さ丸出しで職員のモラルダウンも甚だしい。しかも、機構に代わる受け皿が見つからない。更に廃炉には30年で3千億円もかかるという厄介者だ。政府の廃炉方針は余りにも遅きに失したが、方針を決断したのは一歩前進と言える。青森県の再処理工場も問題だらけで稼働していない。使用済み核燃料の廃棄場所もない。これで、やっと夢の核燃料サイクルは幻に終わることになる。政府はもんじゅに限定することなく抜本的に原子力政策を見直すべきだと思う。敦賀市長は補助金というアメを欲しがる前に、まず日本の原子力発電の現状を勉強すべきだと思う。もんじゅ廃炉を契機に、原発縮小化の文殊の知恵が出ると良いのだが。