村上の鮭と屏風と鮎

新潟村上は小さな町だ。メインストリートを20分も歩くと端から端へと行き着ける。村上といえば塩引き鮭の吊るし干し程度しか知らなかった。イヨボヤ会館で、大きな「鮭」と書いてある暖簾の横に吉永小百合が立っているポスターを見つけた。カミサンに同じポーズをとらせて「鮭暖簾」を撮ろうと、暖簾探しが始まった。九重園で村上茶を買った後屏風を見せてくれた。9月15日から町を挙げて屏風祭りが開かれるという。村上は先祖代々の宝物を伝え続けている裕福な町屋の集まりらしい。そして少し歩いて「鮭」の暖簾を見つけた。早速カミサンを横に並ばせ写真を撮った。入口には数匹の塩引き鮭が吊るしてる。その少なさに少しがっかりし通り過ぎようとしたが、念の為店内に入ってみることにした。中に入って驚いた。町屋の間口は狭いが奥行きは長い。35mもある。そこに塩引き鮭が1000匹以上吊るされている。数も圧巻だが醗酵臭にも圧倒された。村上は鮭加工の伝統も生きているのだと感心した。その鮭の遡上で有名な三面川には鮎のやな場がある。やなには1匹も鮎が上がっておらず少しがっかり。でも、やな場で食べる鮎焼きは初めての経験だ。美味かった。自分は小ぶりの鮎の方が丸ごと食べられ美味しいと思った。鮎は香魚とも言う。香りのある魚だ。何時までもその香りが指先に残った。今度鮎を食べる時は、その香りで村上を思い出すに違いないと思いながら帰途についた。なかなか内容のある小旅行であった。