生まれ変わる将棋界

NHK杯テレビ将棋トーナメントが面白い。もう20年以上も見続けている。将棋界のことは良く知らないが、NHK杯を見ているだけで動向が分かるような気がする。今年は、谷川9段が石井4段に敗れ、森内9段も斉藤6段に負けた。かつての名人も勢いを増す若手に圧倒される時代になってきている。最近のプロ将棋は定石通りには進まない。むしろ悪手と言われた手を指すことが多く、悪手を妙手に変えることがあるので驚きだ。その走りは佐藤康光9段だと思う。10年前ほどから定石を指さず、創造的な新機軸の手を指すようになった。一時は「この人頭が狂ってしまったのかしら」と勘繰ったこともあった。でも、この佐藤9段の頑張りで将棋界に新風が吹きこまれ、若手が育ってきたとも言えるのかもしれない。将棋界のビッグニュースが飛び込んできた。62年ぶりに最年少14歳2か月の棋士が誕生するという。中学2年生の藤井聡太君だ。これまでの最年少記録は加藤一二三9段が1954年に樹立した14歳7か月。藤井君は3段リーグをたった1期で抜け4段に昇段する。佐藤天彦名人でさえ抜けるのに4年を要したのだからその凄さが分かる。中学生棋士の誕生は、加藤一二三、谷川浩司、羽生善治、渡辺明の次いで5人目とのこと。いずれも多くのタイトルを獲得し、時代を代表する名棋士になっている。藤井4段は将棋の常識を覆すかもしれない。NHK杯への出場が待望されるし、将棋の楽しみ方も増しそうだ。