目標設定ミスと政策ミス

待機児童が2年連続で増加し、2017年度末までに待機児童をゼロにする政府目標が霞んでいるという。今年4月時点での待機児童数が2万3千人超で、この他に隠れ待機児童が6万7千人いるので、合わせて9万人もいるのだ。保育園を増やしても、自治体が補助する認可外保育所に入っている児童や、保育所に入れず育児休業を延長したケースなどを数えた隠れ待機児童が、新たに待機児童として加わるので、待機児童は減ることはないのが現状だ。そもそも待機児童の定義が曖昧で、各自治体で定義が異なるし、同じ自治体でも児童受け入れが改善されると待機児童の要件を緩和するので、また待機児童が増えることになる。政府は2万3千人の解消を目指しているが、9万人解消を目標にすべきものだった。政府の目標設定のミスと言える。保育士不足も深刻だ。政府は月給を2%程度引き上げる方針だが小手先に過ぎない。保育士の資格を得るには、養成校を卒業するか保育士試験に合格するしか道は無い。育児の経験のない若い子が養成校を卒業しても即戦力は望めない。一方育児経験のある人にとって保育士試験は難し過ぎる。保育士試験を実用的なレベルまで簡素化するのが、即効性のある最善の道だ。ただ政府が養成校の利権と対抗出来るかが成否を分けそうだ。利権に弱い政府には期待出来そうもない。待機児童は全国に散在しているのではない。都会に集中している。世田谷区、渋谷区、目黒区の待機児童を解消出来れば、ほぼ解決するとも言える。政府はこれらの区を特別区として規制緩和すべきだと思う。結局待機児童問題は、政府の目標設定のミスと政策ミスのダブルで長引いていると言えそうだ。