メルトダウンの箝口令

東電の第三者委員会が、福島原発事故後2ヶ月間もメルトダウンを公表しなかったのは、首相官邸からの指示があったからだと認定した。それに対し当時の菅首相と枝野官房長官が猛烈に否定している。名誉毀損だとして東電に法的措置を検討しているという。では客観的に見て当時の状況はどうだったのだろうか。原発事故の次の日には、原子力安全・保安院の審議官が記者会見でメルトダウンの可能性があるとの認識を示した。ところが、翌日には更迭され、別の審議官に替わりそれ以降メルトダウンとは一切発言しなくなった。一方NHKでは水野NHK解説委員がメルトダウンを口にした途端、政府から圧力がかかり、水野委員は番組を降板させられる寸前まで追い込まれた。この3つの事実から、官邸が箝口令を敷いていたのは間違いないと推測される。事故後幾つもの原発事故調査委員会が発足したが、どれもこれも中途半端な調査で終わってしまった。箝口令を敷いた張本人たちがトップに居座っていたので、しょうがないと言えばしょうがないが、だらしないの一言に尽きる。幸か不幸か、枝野元官房長官は法的措置を取ると息巻いている。是非法的措置を取り、東電と争い、事実関係を明確にしてもらいたい。菅元首相、枝野元官房長官、海江田元経産相、細野元補佐官らは、否定を繰り返す程自分の首を絞めることになるはずだ。