金属アレルギーとナノ粒子

金属アレルギーの原因は金属ナノ粒子によるものであるとのことを大阪大の研究チームが発表した。金属アレルギーに悩む人は意外と多い。ニッケル、コバルト、クロムが金属アレルギーを起こし易い金属として知られている。皮膚に直接接触するピアス、ペンダントや、ニッケルを含むチョコレートなどが有名だ。今までは、金属から溶出した金属イオンが人体のタンパク質と結合し、アレルゲンとなるタンパク質に変質させると考えられていたが、詳しい仕組みは不明だった。研究チームは、マウスに金属イオンだけを投与しても発症しないので、金属イオンから生じる金属ナノ粒子に着目したとのこと。マウスにニッケルなどの金属ナノ粒子をあらかじめ投与した後、再び金属ナノ粒子を投与したところアレルギー反応を示す腫れの悪化が見られた。メカニズムはこうだ。金属が皮膚に触れ金属イオンが溶け出す。体内に入った金属イオンが集まって金属ナノ粒子を形成する。体内に金属に対する免疫が出来る。その後再び同じ金属に触れた時免疫が活発に働き発疹やかぶれが発症する。メカニズムが分かれば、予防や治療法の開発につながる。将来、金属アレルギーに悩む人は激減しそうだ。この研究は金属ナノ粒子の安全性研究にも大いに役立ちそうだ。ナノ粒子は挙動が特異的で今までは考えられないような特性を創り出すことが出来るので、その研究は脚光を浴びている。反面負の効果もあるのも事実。多くの研究者が扱い始めている。研究者にとっても、この研究成果はナノ粒子の取り扱い安全性に警鐘を与えていることだと思う。