クソオヤジとドブス

自分は55歳になってから自動車免許を取得した。あれから14年が過ぎた。一度の違反も事故も無くゴールドが続いている。でも、軽い接触事故は2度あった。一つは数年前の事だ。比較的広い片側1車線の脇に車が止まっていた。それをすり抜ける為若干車線をはみ出した。その時自分の車のサイドミラーと対向車のサイドミラーがぶつかった。すぐさま相手に駆け寄り、ひたすら謝り100%自分の落ち度なので損害があれば全額負担すると伝えた。幸いにも双方に被害はなかった。もう一つは今日。対向車は左カーブの坂上からセンターラインを越えてショートカットで突進してきた。自分は危ないと思いながら左端ギリギリを通過しようとした。その時衝撃音がした。一瞬その音は何かと思ったが、すぐにサイドミラー同士がぶつかったことが分かった。車を少し先の道端に止め、相手車両の様子を見に行った。相手は若い女性。損傷はなかったのかと尋ねた。無いと言う。自分は「良かったね」と言い「でも事故の原因はセンターラインを大幅に越えた貴方にある」と言った。すると驚くことに、その女性は「だったらあんたが停車しなかった所為だ」と言い出した。まさに盗人の逆恨みなのだ。そこで自分もカチンと切れた。「バカを言うのもいい加減にしろ」と切り返した。その後少し言い争いをしたが、自分に落ち度はないので車に戻った。そして自分の背後で「ギャー、クソオヤジ」という叶切り声が響いていた。その時自分はクソオヤジに反応し戻って「ドブスめ」と返す誘惑に駆られたが、そうはしなかった。もし、していてば、自分がドブスレベルの人間に堕ちてしまうと思ったからだ。・・・あれから12時間が過ぎた。今では、あのドブスが天使に見えてきた。あの時以降車の運転がより慎重になった。自分だけが安全運転をしていれば良いというものではないということも学んだ。災いは転じて福となるかもしれない。