県の石

都道府県には、それぞれにシンボルの旗や花や木や鳥がある。例えば、東京都であれば、銀杏をデザインした都旗、花はソメイヨシノ、木はイチョウ、鳥はユリカモメという具合だ。この度、日本地質学会が創立125周年の記念事業として「県の石」を選定したとのこと。その県に特徴的に産出または発見された岩石・鉱物・化石をそれぞれの「県の石」として選定した。東京都の岩石は小笠原諸島の無人岩、鉱物は同じく小笠原の単斜エンスタタイト、化石はトウキョウホタテ。特に岩石はその県を表していて特徴的だ。栃木県の大谷石、新潟県のひすい輝石岩、石川県の珪藻土、鳥取県の砂丘堆積物、福岡県の石炭、鹿児島県はシラスなど、岩石の名前を聞いただけで県名が分かる。鉱物にしても、鉄鉱石ならば岩手県と分かるし、金といえば佐渡がある新潟県、カオリンといえば窯業原料だから瀬戸物の愛知県、銀ならば石見銀山のある島根県。こうして改めて見ると各県には特徴のある岩石や鉱物が存在していることが良く分かる。日本地質学会は「大地の歴史と成り立ちを知って郷土の地質を愛してほしい」と言っている。この「県の石」という発想は優れものだ。県民は更に愛着が湧くだろうし、地質にも興味を持つようになりそうだ。日本地質学会にとっても、県民にとっても久々のヒットシンボルと言えそうだ。