カテゴリ:201605



31日 5月 2016
増え続ける空家問題が深刻化している。空家は全国で800万戸以上あり総住宅数の1割を超えている。撤去するには2百万円程度の費用が必要だし、撤去して更地にすれば固定資産税が上がる。だから空家として放置される傾向にあるが、放火やゴミの投棄などの対象になりスラム化は周辺住民には大きな迷惑だ。一方リノベーションしてシェアハウスや高齢者のグループホームに活用すれば一石二鳥の対策になる。東京都で最も空家率が高い豊島区が、空家をリノベーションして活用する方法を考えだし条例化した。まさに一石二鳥の名案だ。ところが何と国交省が「法を超える部分がある」とまったをかけた。でも建築基準法上、人口25万人以上の豊島区には独自に建築確認できる法的権限がある。法的には豊島区側が正しいはずだ。国交省の反対理由は全国一律の法規になっていないということらしい。では早急に法を現状に合ったものに改正しすれば良い。だが腰が重い。一方豊島区はフットワークが軽い。これは中央官庁が社会を住み良くすることを邪魔する典型的な例だ。公明党の石井国交相は真摯に前向きな気持ちで仕事をする気があるのだろうか。
30日 5月 2016
スマホなどのハイテク製品にはレアメタルやレアアース材料が欠かせない。日本にはこれらを天然に産出する鉱山はないが、電子機器廃棄物という豊富な都市鉱山がある。効率的な回収方法さえ出来れば、まさに廃棄物が宝の山になる。筑波大の研究グループが、効率的に回収出来る技術を発見したようだ。従来は金属を強い酸で溶かし活性炭などで処理して回収してきたが、コストが高く、濃度の低い金属は回収出来なかった。筑波大の発見は、草津や登別の酸性の温泉で生きている「ガルディエリア・スルフラリア」という藻類。この藻類は、pH0.1の強酸性にも耐え乾燥にも強い。37~56度のお湯に生息し、金属を高濃度に含む溶液中でも死ぬことはない。その性質に着目したのが功を奏したようだ。実験で0.5ppmの低濃度の金とパラジウムをそれぞれ90%以上の高い効率で回収出来ることを発見。レアアースのネオジムとジスプロシウムでは70%の効率で回収出来ることを確認したとのこと。メカニズムはまだ充分には解明されていないが、金は細胞表面への吸着で、レアアースは細胞内部へ吸収する仕組みのようだ。筑波大の助教はベンチャー企業を設立し実用化を目指すという。是非とも研究を成功させ、日本を宝の山に変えてほしいものだと思う。藻類畏るべし。
29日 5月 2016
江戸川放水路の河口に三番瀬という干潟がある。船橋、市川、浦安、習志野の各市の沿岸に接している。嘗ては護岸工事が計画されていたが、反対運動で計画が頓挫し、今では魚介類や渡り鳥の楽園になっている。ところが漁業に悪影響を与える青潮が毎年発生し、数年前にはアサリが全滅する被害が出た。青潮は、富栄養化やくぼ地の底に沈んだプランクトンの分解で酸素が欠乏した水塊が上昇し、酸欠で魚介類を死滅させる現象だ。この度、市と漁協が対策を話し合い、水質改善の効果が期待できる水流発生装置の導入を決めたとのこと。水流発生装置の設置はたったの2台だから、湾内全域での青潮発生の抑止は難しいだろうが、対策の糸口は掴めそうな気がする。なんとか楽園を残してほしいものだ。一方アサリの漁獲高が減少している有明海の干潟では、水質浄化剤の実験が行われている。約50cmほどに積もったヘドロに水質浄化剤を入れると、ヘドロが分解されてアサリが激増したとのこと。実験に使われた水質浄化剤は、木くずなどの発酵処理品とシリカなどからなり、低コストで製造出来るようだ。ヘドロは日本中のあらゆる所にある。この技術を全国レベルに広げてほしいものだ。やっと高度経済成長のツケを解消する時代になってきたのかもしれない。
28日 5月 2016
独アディダスが24年ぶりにシューズの生産を自国ドイツに戻すとのこと。今やシューズの殆んどが東南アジアで行われている。我が家の靴も調べてみると、メイドイン中国、インドネシア、ベトナムなどと表示されている。靴に限らず洋服の生産も超高級品を除き、殆んどが人件費の安い東南アジアに移ってしまった。コモディティーな商品ほど人件費の安い国に流れていくのは経済的に合理性がある。ところが、アディダスは安い東南アジア製を人件費の高い自国生産に切り替えるという。一体どういうことだろうかと思った。アディダスはシューズをロボット生産に切り替えるという。ロボット技術が進歩し昼夜働くロボットと東南アジアから消費国への物流費削減で、ドイツ生産が可能になったとのこと。更に3Dプリンターなど最新技術も導入し、店頭で計測した足型データを直接工場に送り生産に直結させるらしい。このような動きはアディダスに限らないようだ。いまドイツでは「インダストリー4.0」という製造業の革新が始まっているとのこと。「インダストリー4.0」の和訳は「第4次産業革命」。人類史上4回目の産業革命を起こす取り組みとして、ドイツ政府が主導し産官学共同で進めている戦略的国家プロジェクトのようだ。そのコンセプトは「自ら考える工場であるスマートファクトリー」。スマートファクトリーは、工場を中心に水平方向にも、垂直方向にも、デジタル化によりリアルタイムに連携し、少量多品種、高付加価値の製品を大規模生産することを目指している。今後「インダストリー4.0」が先進国中心に発展し、4回目の産業革命が起きるのは間違いなさそうだ。
27日 5月 2016
全仏オープンが始まり錦織の活躍が目覚ましい。今日は夜の9時から民放でLIVE中継された。相手はスペインのベルダスコ。ナダルにも勝った事のある強豪で左利きの強烈なサーブとフォアハンドストロークを武器にしている。第1セットと第2セットはほぼ互角だったが、僅かに錦織が上回りセットを制した。ところが第3セットに入ると流れが変わりベルダスコのペース。第4セットではその流れが加速し錦織はサンドバック状態で成す術がなかった。結局第3セットと第4セットはベルダスコに取られ第5セットへと縺れ込んだ。テニスもこのクラスになると、強い者が圧倒し続けるということは殆んど無い。ゲームには必ず流れがある。その流れを如何に自分に引き寄せるか、それをどう継続させるかが勝負の分かれ目だ。LIVE放送は先の結果が分からない。だからこそその流れを感じながら観戦するのがテニスの醍醐味でもある。民放だからCMが多かった。ゲームとゲームの合間にCMを流すのはスポンサーの権利だから致し方ない。長いCMの後、ゲームが再開された。ところが、ゲームカウント0-0のはずが、0-30から始まった。何とCMによってLIVE中継がカットされていたのだ。肝心のLIVEをカットしてしまうCMは最悪だ。CMが邪魔をしている。視聴者には悪い印象しか与えない。スポンサーは一体何を考えているのだろうかと疑ってしまった。十数社がスポンサーになっていたが、何故か自分にはNTTだけに悪い印象が残った。本末転倒のCM効果であった。
26日 5月 2016
近年になくサミットが盛り上がらない。安倍首相は世界的経済減速に対し各国に財政出動をと訴えるが、反応は鈍い。それもその筈、各国はそれぞれ個別の主要問題を抱えているからだ。米国のオバマは既にレームダックで、頭の中は広島訪問のことしかない。英国はEU離脱を問う国民投票が目前で世界情勢など眼中にない。ドイツは難民対策で手一杯で、フランスのオランドは支持率の超低空飛行で影響力はゼロ。一人安倍がリーマンショック直前の状況だと騒いでいるが、消費増税先送りのためのアリバイ作りとしか聞こえない。要するに今は世界の首脳が集まり緊急に一致団結して対処するような問題は無いということだ。全世界の問題を対象にするのであれば、中国とロシアを参加させるべきだと思う。しかし、中国とロシアを入れても議論が発散するだけの結果に終わるのは目に見えている。見方を変えると、今回のように中国とロシアを入れずに民主的法治国家だけが集まり、各国の状況を共有する方が今後の助けになりそうだ。いっその事、民主国サミットとでも名前を変えたらどうだろうか。課題も余り大上段に構えず、気楽に茶飲み話のように情報を交換し親睦を深める。それが世界の平和、経済の発展に最も効果がありそうな気がする。
25日 5月 2016
ベトナムの小学校では、日本語を第一外国語として教えるクラスが幾つか設置されるようだ。既に一部の中学校では日本語教育が実施されているとのこと。日本は対ベトナム投資額で韓国、マレーシアに次ぐ第3位。対日感情は概して良好。日本への旅行客も増加している。現在ベトナムでは約5万人近くが日本語を学んでいるという。ベトナムが国策として如何に日本との経済関係などの強化に取り組んでいるかがダイレクトに伝わってくる。まさに国として成長している勢いを感じることが出来る外国語教育だと思う。一方、日本でも小学校での英語教育が始まっている。これからグローバル社会で生きていくのに英語は必須。だから小学校から英語教育を始めることは良く理解出来る。だが、子供たちがこれから海外に出て行くために学ぶのだという姿勢は余り感じることは出来ない。小学校が教えるから学ぶという程度で受け身の姿勢が目立つ。今まで日本では中高大の10年間も英語を学んできたが、活用している人は殆んどいないのが実情だ。これを更に小学校まで広げてみたところで劇的変化は望めそうもない。小学生には、単に英語を教えるだけでなく、英語の面白さや、英語を身に付けるとどのような世界が拓けるのか、海外は日本とどのように違う世界なのか、どのような夢が描けるのか、英語教育の動機づけが先決だと思う。魅力のある世界であれば、子供たちはイヤでも英語に夢中になるはずだ。
24日 5月 2016
かつて敵国だったベトナムをオバマ米大統領が訪問し、武器輸出禁止措置を全面解除すると発表した。但し、武器輸出はベトナムの人権問題への取り組み次第との但し書きが付き、それ次第では今後ベトナムは米国からあらゆる武器と軍事物資を輸入出来るようになる。オバマは公式的には「これはベトナムとの国交正常化の一貫であり、中国を念頭に置いたものではない」と表明している。しかし、誰が見ても対中国対策であることは明らかだ。ベトナムは南沙諸島・西沙諸島の領有権で中国と揉めている。ベトナムは米国の武器を得て、米国はベトナムのカムラン湾を利用出来るようになる。ベトナムといえばベトナム戦争が有名だ。北ベトナムと米国の傀儡である南ベトナムが戦って米国が負けた。米国はベトナム戦争で非道な手段を用い、今でも枯葉剤による奇形児や地雷の被害が後を引いている。ベトナムはベトナム共産党による一党独裁制の社会主義共和国だ。その割に米国とは仲が良い。クリントン、ブッシュに続きオバマで3代続いて米国大統領が訪越している。ブッシュは反対に遭うのを恐れていたが、その歓迎ぶりに驚いたという。どうやらベトナム文化の本質は「親和」にあるようだ。嘗てはフランスに、日本に、米国に支配を受けた。過去は忘れないが恨むことなく常に包容し、過去を将来の足かせにしないと言う。大人の文化だと思う。中国や韓国がベトナムの爪の垢を少しでも煎じて飲めば、共栄するのは間違いないと思うのだが。
23日 5月 2016
また沖縄で凶悪な事件が起きた。米軍属が若い女性を襲ったあげく遺体を草むらに隠し遺棄をした。沖縄の治安が悪い要因は、米軍基地と日米地位協定にある。特に日米地位協定には問題が多い。日米地位協定により、日本国内でありながら日本の法令は適用されず、米軍関係者には外交官並の治外法権・特権が保証されている。極めて不平等な協定なのだ。しかも、1960年以来、地位協定が改定されたことはなく、運用改善だけで今日に至っている。米軍関係者が事件を起こしても、米軍が第一次的裁判権を有しているし、裁判すらかけずに米国本土に返してしまったこともある。国防総省は軍法会議にかけると説明するが、罰金や人事処分で済ますことが多い。米軍には借用地について元通りに原状を回復する義務が無い。将兵・軍属は外国人登録の義務がなく、出入国管理の対象外だから、日本に居るのか居ないのかも把握出来ない。米軍機は国内の飛行規制に縛られることなく自由に飛行出来る等々、数え上げたら切りが無い。同じ第二次世界大戦敗戦国のイタリア、ドイツが冷戦後に大使館の土地以外の管理権を取り戻したのに対して、日本では地位協定の改定が全くなされていない。沖縄は事ある毎に地位協定の改定をと言い続けている。今回も沖縄県知事が安倍首相に見直しを要請した。ところが安倍は申しれに消極的な姿勢をとっている。本来マスコミが先頭に立って、日米地位協定の不平等さを指摘して国民の総意として改定を迫るべきものだ。さもしい都知事などを取り上げお茶を濁している時ではないはずだ。
22日 5月 2016
日曜日夕方のNTV番組「笑点」の大喜利の司会を務めてきた桂歌丸師匠が、体力の限界を理由に今日の番組で降板した。歌丸師匠は、笑点放送開始の初回から50年間も連続で出演し、この10年は司会者として活躍してきた。見るからに虚弱体質で、かつ高齢。これ以上体に鞭を打つのは忍びないと感じていたから、降板したことは良い事だと思う。巷では、さて歌丸師匠に続く司会者は誰になるのだろうかと色々取り沙汰されていた。振り返ってみると、初代は立川談志で、前田武彦、三波伸介、三遊亭円楽、そして歌丸師匠へと続いてきた。当時先代の円楽が歌丸師匠を指名した時、こんな小物にして良いのだろうかと懸念したことを思い出す。歌丸師匠自身もそう思っていたはずだ。だから、大政奉還として今の円楽に席を譲るのは間違いないと思っていた。ところが、歌丸師匠の口からは意外な人物名が飛び出した。誰しも円楽を予想していたに違いない。ところが何と笑点大喜利の最も新参者の春風亭昇太だと言う。実力順でもないし、年功序列でもない。大抜擢だ。これから昇太は、上から目線の強者相手に大喜利を仕切らなければならない。大変だと思う。だが、よくよく考えると、そこには歌丸師匠の先代円楽に対する感謝の念が秘められているように思う。歌丸師匠は降板するに当たって当時の自分の心境を思い出したに違いない。未熟な自分を抜擢してくれたお蔭で今日の自分がある。そこで先代円楽への恩返しとは何だろうかと考えた。その答えが大政奉還ではなく、若手の抜擢だ。若手の抜擢ということは、落語界への新風挿入でもある。多分、歌丸師匠はそこに気付いたのだと思う。歌丸師匠の落語に対する深い思いを感じることが出来た新旧交代劇であったと思う。

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