大人のベトナム文化

かつて敵国だったベトナムをオバマ米大統領が訪問し、武器輸出禁止措置を全面解除すると発表した。但し、武器輸出はベトナムの人権問題への取り組み次第との但し書きが付き、それ次第では今後ベトナムは米国からあらゆる武器と軍事物資を輸入出来るようになる。オバマは公式的には「これはベトナムとの国交正常化の一貫であり、中国を念頭に置いたものではない」と表明している。しかし、誰が見ても対中国対策であることは明らかだ。ベトナムは南沙諸島・西沙諸島の領有権で中国と揉めている。ベトナムは米国の武器を得て、米国はベトナムのカムラン湾を利用出来るようになる。ベトナムといえばベトナム戦争が有名だ。北ベトナムと米国の傀儡である南ベトナムが戦って米国が負けた。米国はベトナム戦争で非道な手段を用い、今でも枯葉剤による奇形児や地雷の被害が後を引いている。ベトナムはベトナム共産党による一党独裁制の社会主義共和国だ。その割に米国とは仲が良い。クリントン、ブッシュに続きオバマで3代続いて米国大統領が訪越している。ブッシュは反対に遭うのを恐れていたが、その歓迎ぶりに驚いたという。どうやらベトナム文化の本質は「親和」にあるようだ。嘗てはフランスに、日本に、米国に支配を受けた。過去は忘れないが恨むことなく常に包容し、過去を将来の足かせにしないと言う。大人の文化だと思う。中国や韓国がベトナムの爪の垢を少しでも煎じて飲めば、共栄するのは間違いないと思うのだが。