水質改善の時代

江戸川放水路の河口に三番瀬という干潟がある。船橋、市川、浦安、習志野の各市の沿岸に接している。嘗ては護岸工事が計画されていたが、反対運動で計画が頓挫し、今では魚介類や渡り鳥の楽園になっている。ところが漁業に悪影響を与える青潮が毎年発生し、数年前にはアサリが全滅する被害が出た。青潮は、富栄養化やくぼ地の底に沈んだプランクトンの分解で酸素が欠乏した水塊が上昇し、酸欠で魚介類を死滅させる現象だ。この度、市と漁協が対策を話し合い、水質改善の効果が期待できる水流発生装置の導入を決めたとのこと。水流発生装置の設置はたったの2台だから、湾内全域での青潮発生の抑止は難しいだろうが、対策の糸口は掴めそうな気がする。なんとか楽園を残してほしいものだ。一方アサリの漁獲高が減少している有明海の干潟では、水質浄化剤の実験が行われている。約50cmほどに積もったヘドロに水質浄化剤を入れると、ヘドロが分解されてアサリが激増したとのこと。実験に使われた水質浄化剤は、木くずなどの発酵処理品とシリカなどからなり、低コストで製造出来るようだ。ヘドロは日本中のあらゆる所にある。この技術を全国レベルに広げてほしいものだ。やっと高度経済成長のツケを解消する時代になってきたのかもしれない。