草津温泉の藻

スマホなどのハイテク製品にはレアメタルやレアアース材料が欠かせない。日本にはこれらを天然に産出する鉱山はないが、電子機器廃棄物という豊富な都市鉱山がある。効率的な回収方法さえ出来れば、まさに廃棄物が宝の山になる。筑波大の研究グループが、効率的に回収出来る技術を発見したようだ。従来は金属を強い酸で溶かし活性炭などで処理して回収してきたが、コストが高く、濃度の低い金属は回収出来なかった。筑波大の発見は、草津や登別の酸性の温泉で生きている「ガルディエリア・スルフラリア」という藻類。この藻類は、pH0.1の強酸性にも耐え乾燥にも強い。37~56度のお湯に生息し、金属を高濃度に含む溶液中でも死ぬことはない。その性質に着目したのが功を奏したようだ。実験で0.5ppmの低濃度の金とパラジウムをそれぞれ90%以上の高い効率で回収出来ることを発見。レアアースのネオジムとジスプロシウムでは70%の効率で回収出来ることを確認したとのこと。メカニズムはまだ充分には解明されていないが、金は細胞表面への吸着で、レアアースは細胞内部へ吸収する仕組みのようだ。筑波大の助教はベンチャー企業を設立し実用化を目指すという。是非とも研究を成功させ、日本を宝の山に変えてほしいものだと思う。藻類畏るべし。