面白い機能性材料の開発

傷が出来ても自ら治す自己修復性機能を持つ先端材料の開発が盛んなようだ。横浜国大は、航空機エンジン向けの自己修復性高強度セラミックスを開発したとのこと。表面に亀裂が生じると高温の空気が入り込み、セラミックスの中に封じ込めた自己修復材の炭化ケイ素が溶け出し、10分ほどで修復するという。エンジンをセラミックスで軽量化すると燃費を15%も低減出来るが、セラミックスは割れ易いのが欠点と言われていたので実用化の道が拓けるかもしれない。また、富山大では航空材料として広く使われている炭素繊維強化プラスチックの自己修復化に成功した。早稲田大では、断線しても自然に復旧する電子回路を開発した。配線の表面に金のナノ粒子を塗っておくと、断線部に金粒子が引き寄せられ隙間を埋め修復するらしい。関西ペイントは、鉄板の錆びと反応して被膜を作り腐食を防止する保護剤を開発した。日本では自己修復性材料の開発が花盛りだ。一方オーストラリアでは、干すだけでシミが消える繊維を開発したようだ。繊維を特殊な溶液に浸して微小な銅と銀の粒子をコーティングする。これに光を当てると粒子が活性化して漂白剤のように作用し、有機物が分解されるという。シミは40分程度で消え、洗濯を15回しても効果は変わらなかったとのこと。やがて洗濯不要の衣服が出現するかもしれない。化学は面白い。生まれ変わったら、また化学の仕事をしようかなという気分になってきた。