世界記憶遺産あれこれ

ユネスコの世界記憶遺産に、日本の「東寺百合文書」と「舞鶴への生還」が登録されることになった。「東寺百合文書」は、京都の東寺に残された、8世紀から18世紀までの古文書約2万5千通で保存状態も良好とのことで、まさに生きた世界記憶遺産と言えるだろう。「舞鶴への生還」は、舞鶴港に引き上げたシベリア抑留者らの記録約570点。戦争による過酷な歴史を扱っているが、舞鶴市と姉妹都市であるロシア・ナホトカ市の理解と協力があり、これも世界記憶遺産に値すると思う。一方中国の日中戦争時の「南京大虐殺に関する文書」も同時に登録された。だが妥当なのだろうか。中国は30万人が虐殺されたと言い、日本は諸説あり人数を認定するのは困難と言い、主張がかみ合っていない。主張には大きな隔たりがあり今の時点で一方的に中国の主張を通して登録することは如何なものかと思う。「大放言:百田尚樹:新潮新書」によると、南京大虐殺など無かったと言う。資料を基に事実を検証している。当時の南京市人口は20万人だが被害者が30万人に水増しされた。でも日本が占領した1か月後には25万人に増えている。寧ろ治安が回復したと見るべき。30万人という数字は東京大空襲と原爆で亡くなった人の数と同じで、米国が戦争犯罪に問われるのを恐れてでっち上げた事件と推定。日中戦争は14年間も行われていたのに他地区での虐殺など一度も報道されていない。南京大虐殺が東京裁判で突如浮上したのは極めて恣意的過ぎる、と。この意見は筋が通っていると思う。一方で自民の二階総務部長が「日本の主張を聞かないのならば、ユネスコ資金への協力はしないと言うべきだ」と言い出した。だがこれは金に物を言わそうとする最低な成金主義そのもの。そんな主張を世界相手にすれば、日本の立場は増々危うくなる。二階は「事実を検証して登録を再吟味して欲しい。その結果事実と認定されれば今後もユネスコに協力する。だが間違いと認定されても登録が取り消さなければ資金協力を止める」と言うべきだったと思う。ユネスコも二階も、どちらも困ったものだ。