国の壮大な無駄遣い

この度の鬼怒川水害では行政機関のボロが数多く露呈した。常総市には危機管理対策が全く為されていなかった。洪水危険地域でありながら想定マニュアルも作成されていなかった。西側の鬼怒川が決壊したのに常総市は住民に西側に避難するよう指示を出し右往左往した。行方不明者が多数にのぼり、多くの国民が心配したが、行方不明の14人は既に避難していたことが後で分かった。茨城県と常総市の連携の悪さが混乱を増長させた。そればかりではない。内閣情報調査室は情報収集衛星IGSで撮影した鬼怒川の水害情況の画像を公開した。だが単なる航空写真で、かつわざと画像をぼかしたため、災害対策には何の役にも立たなかった。IGS画像は特定秘密保護法の指定対象になっているので出し惜しみしたからだ。最近法案が成立した特定秘密保護法により、早速足を引っ張られた格好だ。1998年の計画開始以降、日本はIGS計画に1兆円以上を投資してきたのに、全く役に立たず、これからも年間1000億円を注ぎ込もうとしている。そんな価値があるのだろうか。一方IGS画像と同時に公開されたGoogleクライシスレスポンスは優れものだった。画像も鮮明で、航空画像が地図に重ねて表示されており、かつドローン撮影によるピンポイント画像も提供されていた。しかも決壊前後の画像も比較されているので水の広がり具合も手に取るように知ることが出来た。役に立つとは、こういうものを言うのだ。4年前の原発事故時にSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)というものが有りながら活用されず、悔やまれた。活用していれば避難の仕方が大幅に変わっていたはずだ。だが何故か国は今年の8月に今後原発事故の避難にはSPEEDIを使わないことを決めた。IGSは福島原発事故時のSPEEDIと同じ道を辿ることになるかも知れない。国の壮大な無駄遣いとしか言いようがない。