盗聴は泥棒と同じ

米国家安全保障局NSAによる盗聴が明るみに出て各国首脳がオバマ大統領に抗議の電話を入れた。だが日本の反応は穏やかだ。菅官房長官が記者の質問に対し「事実とすれば遺憾だ」と答えお茶を濁そうとしたが、それでは収まらず安倍首相が抗議の電話を入れるはめになった。でも相手はオバマ大統領ではなく格下のバイデン副大統領。バイデンから「大変申し訳ない」との陳謝の言葉を貰い一件落着となったようだ。しかし単なる電話会談で幕引きをはかるべきではない。誰を対象に、どのような情報を、いかに入手していたのかを明確に回答しろと要求すべきだと思う。盗聴といえば泥棒と同じ。泥棒に入られて犯人が捕まりいまは本人は改心しています、というだけで済ましてはならない。盗難された物品・情報と盗みの手口が分からなければ、再発防止の対策もたてようがない。オバマは昨年NSAの情報収集活動の改革策を発表し、同盟・友好国の首脳の盗聴は原則行わないと表明した。でも原則だから、いつでも原則から外れることは発生する。泥棒が再犯を犯さないよう圧力をかけるのも同盟のよしみというものだ。ひょっとするとニュージーランドへの盗聴は止めたのかもしれない。何故なら米国が大筋合意を見込んでいたTPP交渉が、ニュージーランドによって合意に失敗した。今頃フロマン米通商部代表はNSAを恨んでいるかもしれない。