禁煙五輪を断つ東京

2004年のアテネ五輪以降、開催国で喫煙に対する罰則付きの法令化の流れが定着している。IOCもWHOも「タバコのない五輪」を推進してきた。開催国に法令制定までは求めていないが、2016年のリオデジャネイロと2018年冬の平昌は州法や法律で飲食店の全面禁煙を定めた。ところが、東京五輪がこの流れを断ち切りそうだ。2020年東京五輪に向けて、飲食店などの屋内施設での禁煙や分煙を罰則付きで義務づける条例の是非を議論してきた東京都の検討会が、条例化を先送りする最終提言をまとめたとのこと。先送りするとは、条例では縛らないということだ。検討会の提言は、都が受動喫煙防止の計画を作ること、都の条例ではなく法律で全国一律に規制するのが望ましいことの2点。他人任せというか無責任そのもの。検討会では、医師らが条例化を強く求めたが、法学者らが条例で不利益を被る飲食店などによる訴訟リスクを挙げ反対したとのこと。商業化しているとは言え五輪はスポーツだ。健康を願う祭典でもある。タバコは一時的にストレスを解消させる効能はあるかもしれないが身体に毒であることは間違いない。しかも周りの人たちに毒をまき散らす。これは世界の常識だが、残念ながら日本の法学者たちには理解が出来ないらしい。どうやら日本の法学者らは「木を見て森を見ず」の性分で物事の軽重が分からないのかもしれない。法学者が法である条例を作るのを嫌がるところも滑稽だ。この種の法学者は所謂知識人ではない。東京が禁煙五輪を断つ、非常に残念。