町医者の良さ

20年近く前に今の住処に引っ越して来て、近所の町医者を見つけた。それ以来、謂わば自分の主治医として健康診断を託してきた。高校の同窓で2年上の先輩であるし、気さくで押し付けのない良い医者。いざとなれば大病院に繋げてくれる理想的な町医者だった。ところがその先輩が数年前に胃がんを患い、その後復帰したものの、何かおかしい。高齢になって全身麻酔をすると認知症が早まると言う。まさにそう見えた。それまで小さな病院の割には流行っていたが、潮が引いたように患者数が激減していった。そろそろ自分も鞍替えをしようかと思っていた時に、代替わりし若い息子の医者がやって来た。当初は年が若いので経験も少ないだろうし、技量の程度は不明だ。疑心暗鬼で診察を受けた。そのうち分かった。先代以上に患者の話を聞き、しっかり患者に寄り添い説明する医者なのだ。患者の数は見る見る回復し、今は先代以上に繁盛している。良かったと思う。ところで話は変わるが、薬局の選択も大切だと思う。厚労省は医薬分業を進めているが、誰の為なのだろうかと疑問に思う。薬局には、院内薬局、門前薬局、町のかかりつけ薬局の3種類があるようだ。自分の掛かり付けの医院は院内薬局なので医院の中で薬を処方してくれる。とても便利だ。だが去年脹脛の肉離れになった時は病院内ではなく、病院の裏のすぐ近くにある薬局で薬を受け取った。厚労省は今後門前薬局の報酬を減額し、1人の患者の薬の服用歴をまとめて管理する「かかりつけ薬局」への転換を促すという。何故こう薬を受け取る方法を複雑にしてしまうのか不思議でならない。