アン・ノーベル賞の新設を

5年に1度開かれる核不拡散条約NPT再検討会議は、1ヶ月間も議論を続けたのに成果を纏めた最終文書を採択できないまま閉幕した。NPTは約190ヶ国が加盟し、世界の核軍縮と核不拡散、原子力の平和利用について協議する会議。NPTには、核保有国の米国、ロシア、英国、フランス、中国は加盟しているが、核を保有しているインド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮は加盟していない。ウクライナ問題ではプーチンが核の準備もしていたと言っていた。イランは核の準備中だし、サウジアラビアはパキスタンから核を購入してイランに対抗しようという話もある。世界的にきな臭い話が先行し、日本が原爆投下の悲惨さを訴えた核兵器禁止は、中国の「加害者から被害者になろうとしているのか」の言葉に粉砕されてしまった。全会一致での文書採択に失敗した理由は、中東を非核地帯にするという構想に対し同意が得られなかったからだ。何と反対したのはイスラエルに配慮した米国。今から6年前チェコの首都プラハで「核兵器を使用した唯一の核保有国として、米国は行動する道義的な責任がある」と語り、核削減に向けた強い意思を表明したのはオバマだ。それが評価されオバマはノーベル平和賞を受賞した。その同じオバマが率いる米国が核不拡散を否定した。オバマもノーベル賞も軽いものだと思う。この際ノーベル財団は、間違って授賞してしまったことを悔い改めて、授賞を取り消す「アン・ノーベル賞」を新設しべきではないかと思うのだが。