バルセロナからパリへ

錦織は強かった。何とバルセロナオープンで連覇を果たした。第1シードで2回戦からの出場だ。相手は2回戦ガバシビリ、3回戦ヒラルド、準々決勝アグト、準決勝クリザン。相手はランク下とはいえ、手を抜けば直ぐに付け込まれる強敵ばかりだ。その証拠にナダルもフェレールも敗退してしまった。でも錦織は圧倒的に強かった。こんなに強くて頼りになる日本人テニス選手は見たことがない。ところが決勝はアンドゥハール相手に一転して苦戦を強いられた。アンドゥハールは、まるで錦織のような動きを見せゾーンに入りゲームを支配していた時間が多かった。だがアンドゥハールは最後の最後で自分のダブルフォルトと、錦織の止めのリターンエースで沈んでしまった。捨て身作戦で力が尽きたのだろう。今テニスの世界では、クレーコートが主流になっている。世界ランクの上位は殆んどクレー育ちの選手で占められ、ハードコート育ちの選手は錦織一人だ。ハードはビッグサーブがものを言うが、クレーは球足が遅く技術、戦術、スタミナ等の総合力が必要になる。錦織がバルセロナオープンで勝てた要因は、クレーを克服したことだろう。言い方を変えると、ハードコートの速いテンポのストロークを持ち込み、クレーコートでの戦い方に革新をもたらしたとも言えるだろう。錦織のクレーコートでの戦いは、マドリード、ローマそして全仏オープンへと続く。楽しみになってきた。