エンケラドスの噴煙

土星の衛星エンケラドスに生命が生息出来る環境が存在する可能性が高いと日米欧チームが発表した。この成果は、生命を育み得る熱水環境が現在の太陽系に存在することを初めて実証した画期的な発見と言えるそうだ。エンケラドスは、直径約500km、氷に覆われた地下海があり、一部から水蒸気が噴き出している。NASAの探査機カッシーニが噴出物を測定したデータを欧米チームが分析しナノシリカが含まれていることを突き止めた。そして日本チームがナノシリカの生成条件を検討し、岩石と海水が水熱反応していることを示した。その結果、エンケラドスには液体の水、有機物、エネルギーという、生命に必須の3大要素が現在でも存在することを実証したとのこと。地下海が存在する天体は、木星の衛星エウロパなどこれまで幾つか見つかっている。最近もNASAが木星の衛星ガニメデの地下に、塩分を含む大量の水を確認したと発表した。しかし厚い氷層に阻まれて、地下海を直接調べることは困難だ。ラッキーなことに、エンケラドスは地下海水を宇宙空間に放出するので内部の様子を直接調べることが出来る特異的な天体であったようだ。地球では火山の噴煙は困りものだが、宇宙では噴煙が役に立っているようだ。