アラルの海をアラルの森に

世界で4番目に大きな湖だったアラル海が消滅しようとしているとのニュースに驚いた。アラル海は琵琶湖100個分の大きさで、北海道の面積に匹敵していたというから、そのスケールにビックリする。1960年代に旧ソ連が綿花と水稲栽培をするためアラル海に流れ込む河川から大量の取水を始めたため流入量が急減したのが原因とのこと。綿花と水稲栽培は農業として定着したが、一方アラル海は干上がり漁業が潰滅したばかりではなく沿岸住民は猛烈な砂と塩による健康被害に悩まされているという。人為的にこのビッグスケールで自然を変えてしまうことに人間の怖さを覚える。取水を止めればアラル海は元に戻り始めるかもしれないが、そうすると綿花と水稲栽培で生活する人々が成り行かなくなるので、アラル海を再生する道はないようだ。そんな中で日本のNPOが「アラルの海をアラルの森に」をスローガンに植林事業に乗り出しているという。植林樹種は中央アジアの沙漠に自生するサクサウールという灌木で、飛砂防止、防風林形成、移動砂丘の固定などの機能がある。だが謂わば北海道スケールのはげ山に一本一本木を植える作業だ。NPOが一人で出来ることではない。NPOは初めの一歩としての役割が果たせば良いと言う。幸い世界銀行がアラル海のリハビリテーションとしての植林プログラムを公にしている。早期の開始と成功を願いたいものだ。