野球は野茂、テニスは錦織

西岡選手が40年ぶりにアジア大会テニスの金メダルを獲得し、伊藤選手は楽天テニスOPで何と世界4位のワウリンカを破る大金星を挙げた。錦織選手の全米OP準優勝が引き金になり、日本テニスが一気に開花したようだ。多分「日本人には無理」という心の重しが外れたからなのだろう。それで昔を思い出した。自分が学生の頃クラブの合宿では毎朝全員で比較的長距離をランニングするルールがあった。走ることが苦手な自分は、1~2km程度走ると必ず足が重たくなりズルズルとビリに下がるのが常だった。そのメンバーの中に、いつも白いウインドブレーカーを着て足取り軽く颯爽と走る先輩がいた。ある雨の日の朝、その先輩が自分に白いウインドブレーカーを貸してくれた。そして、それを着て走り始めると不思議な現象が起きた。恰も自分が先輩に入れ替わったような気がして、足取りが軽くなりいつまで経っても疲れないのだ。その時思った。走るのが苦手なのは、身体的に苦手なのではなく、気持ちの問題なのだということを。錦織選手が日本テニス界の「日本人には無理」という呪縛を解いた。後に続く選手は目白押しだ。その波及効果は計り知れない。しかし、それ以上に凄いと思うのは先頭に立って未開の地を自らの力で切り開いた錦織選手の精神力だ。「野球は野茂、テニスは錦織」。世界へ飛躍するための合言葉が確定したようだ。