賢く選ぼうキャンペーン

昨日書いたコクランのように、科学的根拠に基づいて無駄な医療を無くしていこうという動きもある。米国内科専門医認定機構財団が推進しているChoosing Wisely(賢く選ぼう)というキャンペーンだ。全米の医師の8割が関わっていて、すでに250以上の推奨しない医療を名指ししているとのこと。詳しいことは「無駄な医療:室井一辰:日経BP」に載っている。例えば、前立腺ガンの検診のために安易に血液検査をしないこと。検査で発見率は僅かに上がるが死亡率との相関はない。そもそもこのガンは有害性が低く、発見しても過剰な治療により患者の負担が大きくなり過ぎるだけだから。その他、被曝によるガン化を防ぐため安易な高被曝量のCT検査は避けることとか、進行の遅い大腸ガンの内視鏡検査は10年に1回で充分だとか事例が豊富だ。要は、検査を多くすれば健康になれるというものでもないし、悪戯に眠っている子を起こすとろくなことがないと言っているようだ。日本の国民医療費は40兆円で国家予算の4割に達している。検査や投薬をすればするほど医者が儲かる仕組みになっているのが元凶だ。真面な医療体制にするためにChoosing Wisely日本版を広めることこそ厚労省の責務に違いない。