造語と慣用句

毎年文化庁が発表する「国語に関する世論調査」が面白い。名詞や擬音に「る」や「する」を付けて動詞にする言い回しが広い世代に浸透しているとのことだが、確かにそうだ。60代後半の自分にとっても、チンする、サボる、お茶する、事故る等は日常語になっている。一方若い世代が使う、告る、挙どる、ディスる、タクるなどは、使ったこともないし、聞いたこともない。全く意味不明だ。若者が新語を創造し、年寄りは古い言葉を言い伝えるのが常識だから、チンする、などと言う年寄りは進んでいるのかもしれない。いや寧ろ言葉は進化するものと見るべきなのだろう。ところが大きな問題もある。慣用句の意味が間違って使われ、しかもそれが浸透しているという。「世間ずれ」を「世の中の考えから外れる」と解釈したり、「煮詰まる」を「議論が行き詰まり結論が出せない状態」と思う人の方が多くなっているという。これでは反対の意味になってしまい、言いたい事が伝わらなくなる非常事態だ。文科省は「国語教育に力を入れることにはやぶさかではない」と言うべきだ。はて文科省は積極的にするのだろうか、いやいやするのだろうか。