受け身から攻めの化学へ

最近、化学に新しい波が押し寄せているような気がする。自分が学生だった頃の半世紀前は、例えば地球化学と言えば、土壌を分析したり生成過程を調べることが主流だったように思う。謂わば受け身の化学だったが、今は攻めの化学と言っても良いのかもしれない。慶応と理科大が、工業の主原料であるホルムアルデヒドの新合成技術を開発した。今までは、いや今でも石油原料から作ったメタノールに高温高圧をかけて作っている。それを二酸化炭素を含む海水を人工ダイヤモンド製の電極で電界分解するだけで効率よく生産出来ると言う。省エネでかつ温暖化対策にもなりそうだ。技術の核は人工ダイヤモンド製の電極とのこと。20~30年前は、人工ダイヤモンド薄膜を如何に合成するかが問われていたのだが。ステップが上がったようだ。序でにもう一つ。原子力機構がリチウムを海水から回収する新しい方法を開発した。リチウムは存在が希少なのでレアメタルとも呼ばれているが需要は逼迫している。現在は南米の塩湖の水を自然蒸発させて回収しているが手間と時間がかかるのが難点。だが海水にはリチウムが多い。海水の中からリチウムだけを効率よく回収する方法を模索し、ある種のイオン交換膜を使うと効率良く取り出せるらしい。昔は海水からウランを取り出すという研究もあったが、原理的には可能だが、と言うレベルで終了してしまった。研究が研究の為ではなく、実用化の為にステップアップした時代に来たような気がする。化学、頑張れ!応援するぞ!