文化の継承となるシャケ弁

弁当の定番「シャケ弁」の表示を「ニジマス弁」にすべきかと揺れている。食品偽装騒ぎで養鶏を地鶏、ロブスターを伊勢海老、養豚を黒豚など色々あったが、それらはまさしく偽装で犯罪だった。ところが、消費者庁が過剰反応し、食品を正確に名前付けするためのガイドラインを発表した。その一例が「ニジマス弁」だ。果たして正確に名前付けするという行為が真っ当なのだろうか。サケはシャケとも呼ばれるサケ目サケ科サケ属の魚。一方マスは同じサケ目サケ科だが、日本でサケ類(ベニザケ、シロザケ、キングサーモン等)と呼ばれる魚以外のサケ科の魚をまとめた総称。外国でもサケとマスの名付けは入り乱れているのが現状だ。即ち全部サケでシャケなのだ。自分自身の経験で言うと、昔のシャケ弁は身が締まっていて塩辛かったが、今のシャケ弁は身が柔らかく淡泊。自分は昔の方が好きだが、それは単なる個人の好みの範疇だ。昔の塩辛いシャケこそシャケだと言っても、逆に今の味気ないマスこそシャケだと言っても、味の違いはあれ、それはそれで良い。それこそが文化の継承だと思う。だからシャケ弁は何時まで経ってもシャケ弁なのだ。たとえサケからマスに変わったとしても、その時代が受け入れるシャケ弁なのだと思う。消費者庁は文化というものをもっと真摯に考えて、答えを出すべきだと思う。敢えて言えばシャケ問題などに関わらず、消費者庁はもっと地に付いた真面な問題を採り上げるべきだと思う。