センター試験の苦い思い出

大学入試センター試験が行われている。新共通テストが1990年にセンター試験へと衣替えし続いてきたが、5年後を目処に廃止されるようだ。このセンター試験には個人的に苦い思い出がある。自分が大学受験したのは50年も前の事だから、勿論センター試験など存在していなかった。今から20年くらい前のことだ。日帰りの予定で出かけた金曜日の出張であったが、出張先で会社の親友に誘われ飲むことになった。話が弾み気が付くと終電に間に合わない。仕方なく宿を手配し1泊することにし、宿で寝ていると親友の電話で起こされた。飲み屋に戻れと言う。仕方なく再度飲み屋に行った。もう当然明け方まで飲み明かした。その間酔った勢いもあり、状況を伝えるために真夜中に何度もカミサンに電話をした。翌日は朝帰り。バスの下り際に運転手から「ご苦労様」と声をかけられ「はい」とは返事したものの、ネクタイ姿の朝帰りを運転手はどう見ているのだろうかと複雑な気持ちになった。その夜、センター試験初日を終えた長男はとても厳しい顔をして「落ちたらお父さんの所為だからね」と恨み極まる表情で自分に責め寄った。「?!何で?」と聞くと「昨夜は頻繁な電話と話し声で一睡も出来なかった。案の定テストの出来も最悪だった。せめて昨夜だけは静かにしていて欲しかったのに」と。長男の言葉を聞いて、顔から血の気が引くのが分かった。拙い事をした。取り返しがつかないと思った。長男は合格発表は見に行かず、その時間は国立2期校の受験勉強に充てると言う。従って自分は会社を抜け出して発表を見に行った。結果は何と合格だ。長男から聞いた受験番号が載っている。直ぐに長男に電話をした。長男自身が合格証書を受け取るようにと。だが長男は取りに来ないと言う。仕方なく自分が長男の合格手続きをしたのだが、受かっても長男の心は未だに受験戦争の真っただ中にいたようだ。せめてあの時はご免と一言言いたい。「ご免」