不正塗れの日展審査

日展の篆刻部門で不正審査が明らかになり、文化庁が後援を中止し最高賞の内閣総理大臣賞選考も行われなかった。今度は篆刻に続き、洋画と工芸美術での不正審査が暴露された。どうやら日展では全体的に不正審査が蔓延し慣習化されているようだ。料理の偽装表示とそっくりの展開だ。日展といえば、100年以上続く日本美術界の登竜門となる展覧会だ。しかも公募だから入選者にとって価値のあるものだったのにと残念に思う。篆刻では有力会派ごとに入選数を事前に割り振っていたが、洋画は審査員が特定会派の応募前作品を審査基準に基づいて指導していたとのこと。勿論金も動く。日展の入選をとるには1回100万円、特選なら1000万円とか。有力会派に属さなければ、才能が有っても入選出来ないことが常識だという。かつて有名タレントがいきなり日展に入選し騒がれたことがあったが、今となれば肯ける。地獄の沙汰も金次第ということか。日展の理事長は「不正があるなら正さなければならない」と白々しく言っているようだが、発覚前は「お釈迦様でもご存じあるまい」と胸の内で言っていたに違いない。情けない限りだ。