信号は赤か青か

大昔の話だが、大学に入ったばかりの1年生の時の宗教学講座の教授の質問は今でも覚えている。教授の質問は「自動車も通らない真夜中に、信号のある歩道の向こう側に突然人が倒れるのを目撃した。一刻を争う状況だ。だが信号は赤。その時君は青になるまで待つべきか、それとも信号を無視して助けに行くべきか」というものだった。当然安全を確認しながら信号を無視して助けに行くのが常識だと思うが、何と「青信号になるまで待つ」と答えた学生がいた。失笑が漏れた。大人になりかかった学生にとっては、人間としての常識を見直す機会となる良い質問だったと思っている。そして実際に先日同じような状況の事故があった。JR横浜線の踏切事故だ。年老いた男性を助けようとして、遮断機の下りた踏切に入り老人を助けたが、本人は電車に撥ねられ亡くなってしまった。その勇気ある行為に対して勲章が贈られることになった。ところがこの勲章授与に異を唱える者がいた。かの有名な大橋巨泉だ。遮断機が下りている時に踏切に入るのは違法行為なのに、違法行為をした者に勲章を贈るのは如何なものかと言う。こんな人が一時ではあるが日本の代表ヅラをしていたこと自体が腹立たしいし情けない。昔の巨泉は最先端を走っていたが、今は周回遅れのドンベケになっている。年をとっても聡明になる人もいるが、ならない人もいるという実例だろう。