なり手のいない放射線審議会委員

被ばく線量の基準を審議する放射線審議会が機能不全に陥っている。この審議会は、除染業務員の被ばく限度や、食品中の放射性物質の基準値などについて審議し答申する機能を受け持っている。政府は福島県の避難区域住民の早期帰還のため、放射線防護策を検討しているが、審議会が機能せず安倍内閣が掲げる「復興の加速」が減速しそうとのこと。原因は審議会の委員のなり手がないため。なり手がないのは、資格を絞ったから。絞ったと言っても、透明性中立性の観点から、原子力事業に直接携わっている者や、原子力事業者から一定額以上の寄付や報酬を受けている者を除いただけだが。この一件からも原子力ムラの実体が良く解る。電力会社が如何に技術者や学者を金で手懐けてきたかを。そして電力会社に歯向かえる学者など殆んどいないことを。勇気ある放射線学者の出現が望まれる。その出現なくして福島県民の早期帰還は成し得ない。そして帰還見通しなくして原発の再稼働はありえない。物事の順序とはそういうものだと思う。