アベノミクスの行方

何年かぶりに日経夕刊1面に明るいと思われる小さなニュースが載っていた。「参院選前に結論」という見出し。参院予算委員会で安倍首相が、年金制度などの社会保障改革について先送りはしないと述べたことに対する見出しだ。安倍が改めて昨年の3党合意の精神を踏襲することを宣言したものだ。国民が身を切る社会保障改革になろうとも、主流3党の合意はものを言う。もしも3党合意がなかったならば、安倍は抵抗の多い社会保障改革には切り込めなかったはずだ。消費増税といい社会保障改革といい、安倍は露払いの野田に幾ら感謝をしてもし尽すことはないだろう。そして政権交代が決まり、驚異的に円安と株高が進行している。アベノミクス効果であることは間違いないが、アベノミクスは未だに言葉だけが先行し実行はされてはいない。これを評して経済評論家の山崎氏はプラシーボ効果だと言う。プラシーボ効果とは、医者が患者に小麦粉を与えこれは効きますよと言えば症状が良くなる、というやつだ。まさに今はプラシーボ効果に違いない。古来それなりの政治家は問題点を的確に判断している。問題を問題だと言えるのが政治家だ。しかしその先で問題を解決するために挑むのか、お茶を濁すのかで政治家の大きさは決まることになる。安倍は問題を問題と言えた。今はそこにいる。さあその次はどうするのか。日本の正念場でもある。