空を飛ぶイカと鶏

タコではなく何とイカが空を飛んだというニュースがあった。海洋生物学の専門誌に、外洋性イカが本当に飛んだという記事が掲載されたとか。イカは含んだ水を勢いよく吐き出す事で推力を得て、着水時は衝撃を和らげる姿勢を取れるとのこと。単に水から飛び出すだけではなく、飛行のための空中飛行姿勢を保つ事が出来ることが分かったことが学術的な成果らしい。イカが飛行したきっかけは調査船に驚いた結果かもしれない。同じような話を思い出した。昔平塚に住んでいた頃、八幡山の鶏が空を飛ぶということを聞いたことがある。祭りの縁日で売られた雛が大きくなり、飼育出来なくなった鶏が八幡山に捨てられ、住みついたらしい。ところが鶏も夜は何者かに襲われることがある。そして鶏は自衛のために夜は木の上で眠ることを覚えた。木に登るには飛ばなければならない。空を飛ぶ鶏を見たくて何度も八幡山を訪ねたが、飛ぶ姿は一度も見ることは出来なかった。しかし鶏は確実に飛ぶことを覚えたことは間違いない。夜になると木の上で寝ている鶏を何度も見たことがある。イカも鶏も「窮すれば通ず」ということだろう。適度なストレスが才能を開花させるのは人間世界のことだけではなく、生物進化の基本原則であるということを感じさせる。苦労しながら人生を生きることが、人生を豊かにすることになるのかもしれないと少し思った。