付加価値貿易の統計

貿易収支が過去最大の赤字になったと騒いでいる。日本企業の多国籍化が進み、日系企業からの輸入も増える時代だ。単純に輸出額と輸入額の差である貿易収支で国際競争力を評価するのは実体にそぐわないのではないか思っていた。ところが先日OECDとWTOが付加価値の流れを追う新しい貿易統計を公表した。この統計は、複数国に生産拠点が分散する国際分業の場合でも通商関係の全体像を把握出来るのが特長だ。例えば、日本から60ドルの部品を中国に輸出し、中国で完成させて米国に100ドルで輸出した場合、日本が60ドル、中国が40ドルそれぞれ米国に輸出したと計算する。因みに従来の統計では、日本が中国に60ドル輸出し、中国が米国に100ドル輸出したと計上していたので、中国など最終製品を輸出する国の国際競争力が過大に評価されていたことになる。新しい統計法は、付加価値がどの国でどのくらい作られ、最終的にどの国でどれだけ消費されたのかが分かる優れものだ。すでに大量生産では、日本は中国や韓国には敵わない。付加価値を高めた製品開発こそがこれからの日本の生きる道に違いない。何か明るい日本の未来が見えてきたような気がする。