鍋料理の後の雑炊

ここ10年来、冬に一度は通い続けている店がある。この町の老舗の割烹料理屋だ。今日も義母とカミサンと自分の3人でお邪魔をした。オーダーは決まって、フグのフルコース。理由は単純、美味しいし自分が鍋を好きだからだ。鍋料理を見るといつも思う。若い頃はあまり好きではなかった。好きになったきっかけは単身赴任をした時から。単身赴任の7年間のうち、5年間は寮にいれば自分で夕食を作っていた。特に冬は寮に帰るのが楽しみだった。帰り道で今日は何の鍋料理にしようかと思い巡らしていた。途中のスーパーで食材を調達する。牛のしゃぶしゃぶや牡蠣鍋や寄せ鍋など何でも御座れ。しかし付けダレは、必ず大根おろしにボンズと七味と決めていた。この組み合わせが最良の鍋料理と思っている。ところがこの単身赴任中に思ったのだ。先日「ピンクのクラウン」で書いた「いつかはクラウン」のように「いつかはテッチリ」と。やがて単身赴任も終わり、我が家に戻った。何を食べたいのとカミサンが問う。決まっているじゃないか、フグ鍋だよ、と答えた。それ以来、義母と会食する冬の料理はフグ鍋となった。しかし鍋だけが好きなわけではない。鍋料理の神髄は、最後の雑炊にある。全てのエキスが煮詰まった雑炊こそが料理の王様だと思う。最後の雑炊を食べたいがために鍋料理のオーダーは続いていく。