原発と国家戦略相との狭間

原発の依存度に関する世論調査結果が、圧倒的に「即時ゼロ」であったことで古川戦略相は、情けないことに「15%の順次廃炉」の案から「即時ゼロ」に鞍替えをしようとしている。一方細野環境相は原発の今後の安全維持を図るためには原発技術の継承が必要であることを考慮し「順次の15%」案を主張している。この事実だけで古川が戦略相として落第であることが良く分かる。福島原発による放射能汚染という現実が、既に日本の脱原発依存を決定付けている。脱原発という条件のもとで如何に安全かつ安価に収束させていくかが日本の課題となっているのが現状だ。この期に及んで戦略相が脱原発宣言とは如何なものか。開いた口が塞がらない。簡単に言うと古川は1周遅れのノータリンに違いない。戦略相の職務は、脱原発のために何を為すべきかを明確にすることと、脱原発と新エネルギー開発のバランスを考慮し経済に支障のないようエネルギー政策を組み立てることに尽きる。戦略相は決してポピュリズムに陥ってはならない。即脱原発では無理がある、新エネルギーの創出は簡単ではない。新エネルギー創出は簡単と思うことが将来を見誤ることになる。数十年先の日本を見据え緻密な計画と確固たる信念で日本の将来を導く必要がある。原発はない方が良いが今は必要だ。やるべきことは40年廃炉を徹底し、かつその間に原発技術の劣化がないよう「15%」計画を実行できるようにすることだ。残念ながら選挙票に眼がちらつく古川戦略相には本当の戦略が見えない。元々選挙票がなくても見えないのだろうと推察はしているが。