腑抜けに金棒

かつては「難しい竹島問題を管理していく」と言っていた李大統領が前言を翻して竹島を訪問し、竹島は韓国領土だとアピールした。一方政府が尖閣諸島沖中国漁船体当たり事件の対応を誤ったあと、中国漁業監視船の尖閣諸島周辺日本領海への侵入行為が続いている。また7月にロシアのメドベージェフ首相が北方領土の国後島を訪問し、ラブロフ外相は日本の抗議を感情的だとはねつけた。世界的にナショナリズムの傾向が強くなり、日本は防戦一方だ。日本は強く出てくる外国に対し、強い対抗処置を取ることがない。精々事前事後に「遺憾に思う」とか「強く抗議する」と弱々しくコメントを述べるに過ぎない。ロシアが国後島を訪問しても「遺憾」と言うだけなので、韓国が竹島訪問をと考えるのは当然。領海侵犯しても「イカン、ダメ」と言うだけなので、中国は回数を重ね領土の実績作りに励みだした。この構図は今流行りの「いじめ」に似ている。いじめられる子は、最初にいじめられた時に反抗しない。反抗しないからいじめっ子のいじめはどんどんエスカレートし、最終的に自殺にまでも追い込んでいくことになる。いじめの初期に反抗すればいじめから抜け出すチャンスは大きくなる。今の日本は「いじめられっ子」だ。いじめられないためには、日本の外交・防衛戦略を早急に構築する必要がある。日替わりの首相や外相が即席で何を言っても相手は動じない。芯の通った外交・防衛戦略こそが「腑抜けに金棒」となる。