海老蔵の躾け役

昨年11月に酒のトラブルで暴行事件を起こし無期限謹慎中の市川海老蔵が、7月から舞台復帰することが決まった。事件は海老蔵にも非があったが今年3月に被告が控訴を取り下げ刑が確定した。要は罰を示談金で清算したということだろう。その後も断酒宣言しながらの飲酒や暴言、反省の痕はみられなかったとのこと。歌舞伎は日本文化の代表だ。伝統の継続こそ文化とは言うが、歌舞伎は常識から考えると治外法権の文化世界だ。女を囲う、非嫡男を作る等は先祖代々の慣わし、何の文句があるか、と言える世界。しかし暴力沙汰はいけない。だからといって減点主義は人を大きく成長させない。この事件は若気の至りと水に流し、海老蔵には今後充分反省しながら歌舞伎役者として大成してほしいと思う。今回の騒動は、海老蔵の親でもあり師匠でもある市川団十郎に問題があったと思う。若者を叱責し躾けることも歌舞伎継承のための仕事だ。最も反省すべきは歌舞伎界最上位の重鎮である団十郎だろう。歌舞伎座の物理的な再建時期に間に合うよう、再生した歌舞伎界の再出発を期待したい。