ギリシャと日本

ギリシャ国会は今後5年間の緊縮財政策を実施するための核となる関連法案を30日賛成多数で可決した。バローゾ欧州委員長らは法案の可決を大いに歓迎し「非常に困難な状況の中、国家として責任ある行動を取った」と評価した。一方、日本の政府・与党は社会保障と税の一体改革案を決定した。しかし、増税時期を当初案の「2015年までに10%」を「経済が好転すれば10年代半ばまでに段階的に10%」と曖昧にした。医療費についても70~74歳の窓口負担割合を2割アップと明記せず、年金支給開始年齢も検討するという表現にとどめ、内容は大幅に後退した。しかも閣議決定も見送ったので実行するかは不明。社会保障の安定と財政の健全化は避けて通れない課題だ。このままでは市場の信認を失い、国債の格下げという最悪の事態が現実になりかねない。折角民主政権に与謝野氏を引き入れたのに、最後に梯子をはずしてしまった。菅が最後っ屁ですべき仕事は、数値目標を明確にさせた社会保障と税の一体改革案の閣議決定だ、決して再生エネルギーなどではない。日本はごく近い将来ギリシャの後を追うことになるかもしれない。