生きた実用化研究

何の役にも立たない研究は、経費の無駄遣いだけでなく研究者のモラールも低下させる。それとは正反対に、極めて短期間の研究にもかかわらず非常に役に立ちそうで、しかも研究者が自主的に取り組んでいる研究がある。高濃度の放射性物質を含む水の浄化技術だ。原発事故で大問題の放射性セシウムが、天然ゼオライトにより9割除去出来、また放射性ヨウ素には活性炭が有望とのこと。もともとゼオライトはイオン交換や吸着作用でよく知られている物質であるが、この研究の成果は仙台産のゼオライトが放射性セシウムを除去するのに一番効率がいいことを実験で見出したこと。研究チームは、日本原子力学会に所属する東北大など5大学と日本原子力研究開発機構の計59人。福島第一原発で、難航する高濃度汚染水の処理の一助になればと研究を進めたらしい。まことにタイムリーかつ実効性抜群と期待できる研究成果。まさに生きた実用化研究だ。研究者等のモラールの高さに感銘を受けた。