出口の無い米国自動車産業

トランプは日米交渉で、慢性的な対日貿易赤字構造の根本的な是正と自動車産業の米国回帰を2大目標としてあげていた。でも、トランプの主張する自動車関税は摩訶不思議だ。日本の相互関税は15%で決着し、カナダとメキシコの相互関税は25%に据え置かれた。米自動車メーカーは人件費の安いメキシコやカナダで組み立てた部品を75%以上使っている。今までの米国・メキシコ・カナダ協定による免税は無くなり、25%になった。その結果、カナダやメキシコなどからの輸入部品を使ってアメリカ内で製造した車の方が、日本で製造された車よりもかえって高い関税がかけられることになった。アメ車の方が日本車より高コストになってしまうのだ。米自動車業界は猛烈に批判している。米国各紙は「米国自動車産業を再び見捨てた」と報道している。誰しも、トランプはボケてしまったのかと思ったに違いない。しかし、お金には抜け目の無いトランプが、そんな過ちをするだろうか?それには裏があるはずだ。米自動車メーカーがカナダとメキシコの工場を米国内に移せば、関税は解消し、自動車産業の米国回帰を成すことが出来る。恐らくトランプの狙いはそこにあるに違いない。でも、労務費の格差は吸収出来ないだろうから、成功することは無いはずだ。