政府効率化省の成果は?

米国の政府効率化省が、発足4カ月足らずで失速しつつあるという。トランプが国家予算の浪費にメスを入れるためスタートさせた組織で、トップにはイーロン・マスクが就いた。マスクは「今年3月までには最低でも政府の無駄を1兆ドル節約する」と豪語していた。でも、そのマスクもトランプと喧嘩別れし、トップを降りてしまった。マスクは今になってトランプに泣きついているが、元の鞘に収まる気配は無い。では、政府効率化省は、浪費にメスを入れ、いくら節約できたのだろう。マスクは退任の際「1750万ドルは無駄を削減した」としているが、専門家は「間違いだらけの試算で実態が無い」と指摘している。反面、政府効率化省が残した負の遺産は極めて大きいという。連邦政府職員の大規模な削減で、業務は滞り支障をきたしているばかりでなく、新たな担当者の教育や指導で、削減に見返る費用が掛かっている。収支はトントンだという。社会保障庁では、年金給付の混乱や情報漏洩が相次いでいるという。最も深刻なダメージを受けたのが米国国際開発庁だ。15万人の職員が解雇され、最貧国の数百万人が飢餓の危機に瀕している。援助物資の殆どが米国内の農家や加工工場から調達されていたので、その額も莫大だ。結局、得るものより失ったものの方がはるかに大きい悪政だったと言えそうだ。