ふるさと納税は2008年にスタートした。だが、2014年に北海道夕張市が高級メロンを返礼品にしたことを契機に返礼品競争が始まった。いまや市場規模は1兆円となり、利用者は1000万人、全国1700超の自治体が60万品目以上の返礼品を出しているという。競争が激化し、総務省は「返礼品の金額は寄付額の3割以下、地産品」という縛りをつけた。しかし、地産品で競争を生き抜ける自治体は少ない。そこで問題になるのが産地偽装だ。北海道弟子屈町のウニはチリ産だ。弟子屈町は、解凍し、洗浄し、防腐剤をかけ、地産品としている。北海道網走市のタラバガニはロシア産だ。ロシアで船上冷凍したものを事業者が地域内で茹で、再冷凍したものを地産品と称している。山梨県忍野村の蕎麦は国籍不明だ。今どき国産の蕎麦など殆ど無いのが現状だ。北海道千歳市のラムスペアリブはニュージーランド産。単に切り分けただけでは地場産品として認められないので、温度管理や品質チェックをくっつけた。ふるさと納税は菅前総理が総務相時代に手掛けた肝いり政策だった。それが、税制にも自治体にも大きな歪みを及ぼしている。その菅が自民党の副総裁になる気配だ。政界を含め、更なる歪みが懸念される。
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