「哺乳類が肛門で呼吸する方法」を発見した東京医科歯科大の研究チームがイグ・ノーベル賞生理学賞を受賞した。日本人の受賞は18年連続とのこと。研究のきっかけは、新型コロナウイルス感染症で重症化すると、呼吸不全などが最終的な死因となるケースがあったこと。体外膜型人工肺ECMOは台数が限られる上、人体への負担も大きく、呼吸を補助する治療法が求められていた。研究チームが着目したのはドジョウの腸呼吸だったとのこと。人間など哺乳類の腸もドジョウと同様、腸管粘膜に毛細血管が密に分布している。研究チームは同じことができるのではないかと考えた。マウスやブタの直腸に酸素を多く含むパーフルオロカーボンを投与。すると静脈などで酸素濃度が上昇し、呼吸不全の症状が改善した。チームは、主人公らが特殊な液体の中で呼吸する描写がある人気アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」にちなみ、開発した手法をEVA法と命名した。一見この研究はイグ・ノーベル賞狙いに見えるが、そうではない。極めて真面目な研究なのだ。現在、東京医科歯科大発ベンチャーなどが、低体重で生まれ、呼吸が困難な赤ちゃんの低酸素状態を治療する方法として、実用化のための治験に取り組んでいるのだ。イグ・ノーベル賞の選考者も捨てたものではない。
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