ゲノム畏るべし(2)

かずさDNA研究所と東大の研究チームが、マツタケの全遺伝情報(ゲノム)を完全解読し、約2万1900個の遺伝子を特定したと発表した。シイタケやナメコは伐採した木で人工栽培できるのに対し、マツタケは昔から人工栽培するのが難しい。マツタケは生きたアカマツなどの根と養分をやりとりして共生する菌根菌で、シロと呼ばれる菌糸の集団から食用部分の子実体であるマツタケが生まれる。近年、林業の衰退やマツ枯れなどで収穫量が減少しており、保全や人工栽培技術の開発が課題となっている。このゲノム解析で、マツタケが年により採れたり採れなかったりする理由や、国産と外国産の遺伝子レベルの違いも分かるようになりそうだ。因みに、マツタケは同じ配列の繰り返し部分が非常に多く、完全解読が困難だったらしい。研究チームは長い配列でも読める最新技術を採用した結果、約1億6000万塩基対のDNAが13本の染色体に分かれており、たんぱく質を生み出す遺伝子が2万1887個あることを突き止めた。マツタケは美味い。でも高価だ。早く栽培に結びつくことを願いたいものだ。